白血球像

解説

● 白血球像は、白血球の形態と種類(分画)から、白血病などの血液疾患や炎症性疾患の鑑別を行う検査です。

白血球の細胞には、主に好中球好酸球好塩基球単球リンパ球の5種類があります。これらを総称して白血球と呼び、それぞれの割合をパーセント(%)で示したものを白血球像(白血球分画)といいます。

末梢血液を顕微鏡で調べることで、白血球の形態の異常、あるいは白血球の種類を調べる検査です。感染症や各種白血病、血液系の悪性腫瘍など、様々な疾患の鑑別診断に用いられています。

高値のときに疑う疾患

好中球の増加

急性感染症、悪性腫瘍、白血病(慢性骨髄性)、炎症性疾患

リンパ球の増加

伝染性単核症、リンパ性白血病、百日咳、流行性耳下腺炎、一部の慢性感染症

好酸球の増加

各種のアレルギー疾患、寄生虫症、猩紅熱、膠原病

好塩基球の増加

骨髄増殖症候群、慢性骨髄性白血病(とくに急性転化時)

単球の増加

単球性白血病、発疹性の感染症(麻疹など)

低値のときに疑う疾患

白血球数が減少する病態は、再生不良性貧血、急性白血病、ウイルス感染症(麻疹、風疹、水痘)などでみられます。

造血幹細胞から血球の分化

造血幹細胞から血球の分化

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白血球のはたらき

白血球は、体内に侵入してきた細菌、ウイルス、異物などを取り込んで分解する作用があります、感染症などの病気から身体を守っています。

白血球には、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の5つの種類があります。

好中球

主に生体内に侵入してきた細菌や真菌などの病原菌異物を細胞内に取り込み分解し、殺菌を行うことで感染を防ぐ役割をしています。

一般に細菌感染症では好中球が増加します。

好酸球

アレルギー疾患(Ⅰ型アレルギー)で好酸球が増加します。

寄生虫感染でも増加することが知られています。

好塩基球

細胞内の顆粒にアレルギー反応の原因となるヒスタミン、ロイコトリエンなどを含んでおり、好塩基球の表面にある免疫グロブリンEに抗原が結合すると顆粒中からヒスタミンなどが放出されて即時型のアレルギー反応を引き起こします。

リンパ球

免疫を担当する細胞で、Bリンパ球Tリンパ球、それ以外の未成熟なリンパ球(ナチュラルキラー細胞など)に大きく分けられます。

生体内に有害なウイルスや異物などが侵入すると、Bリンパ球Tリンパ球はお互いに協力して無害なものにする免疫反応を示し、Bリンパ球から、抗体が産生されます。

単球

単球も好中球と同様に、生体内に侵入してきた病原菌や異物を細胞内に取り込み分解し、殺菌を行うことで感染を防ぐ役割をしています。

また、血液中から組織内に入り、マクロファージとなって組織の異物を処理する細胞としても働きます。

白血球の種類

白血球の種類