標準純音聴力検査(1,000Hz、4,000Hz)

解説

● 標準純音聴力検査は、左右の各耳で1,000Hz(低音域)、4,000Hz(高音域)の音を聞き、どのくらい小さな音が聞こえるか、難聴があるかどうかを調べる基本的な検査です。

音は外耳を通り中耳(鼓膜・耳小骨)に伝わります。中耳に伝わった音は内耳(蝸牛)で電気信号に変換されて蝸牛神経に伝わり、脳で音を感じることが出来ます。

難聴は障害の発生するところによって3つに大きく分けることが出来ます。


  • 伝音性難聴:外耳または中耳の障害による難聴
      (外耳道、鼓膜、耳小骨という音を伝える部分の障害)

  • 感音性難聴:内耳、蝸牛神経、脳の障害による難聴
      (内耳、聴神経、脳の伝導路や聞こえの中枢の障害)

  • 混合性難聴:伝音性難聴と感音性難聴の2つが合併した難聴


原因として、①伝音性難聴は中耳炎など、②感音性難聴は騒音性難聴、突発性難聴、メニエール病などがあります。

また、聴力は病気や怪我がなくても加齢とともに低下する傾向があります。

この加齢による聴力低下はだれにでも起こる症状で、老人性(加齢性)難聴と呼ばれます。

高値のときに疑う疾患

難聴

耳の構造

耳の構造

● 耳の領域・区分

耳の領域・区分

● 標準純音聴力検査

Coffee break!

● 聴覚のしくみ

聴覚は、私たちが音を聞くための驚くべきメカニズムを備えています。まず、外部からの音は耳介によって集められ、外耳道を通って鼓膜を振動させます。この鼓膜の振動は、耳小骨によって増幅され、内耳へと伝わります。

内耳に到達した振動は、蝸牛と呼ばれる部分の中にあるリンパ液や有毛細胞を刺激します。これにより、リンパ液と有毛細胞が振動し、その振動がさらに感知されます。有毛細胞は、異なる高さや音のピッチに対応しており、それぞれが特定の音の情報を検出します。

最終的に、これらの振動は電気信号に変換され、蝸牛神経聴神経)を通じて聴覚として脳に送られます。脳では、これらの電気信号が解釈され、音の高さや音量、方向などの情報が組み合わさって私たちが聞いている音として認識されるのです。

このような複雑な聴覚システムによって、私たちは様々な音を感知し、楽しむことができます。音楽や人の声、自然の音などが、耳の内部で鮮やかな音の世界に変換され、私たちの感覚として脳に届けられるのです。

● 音の伝達

音の伝達

Coffee break!

● 平衡感覚のしくみ

平衡感覚は、私たちの生体が回転や傾きを感知し、適切に身体の姿勢を維持するための重要な感覚です。この感覚は主に、耳の中にある前庭器官によって感知されます。前庭器官には回転運動を感知する3つの半規管と、直線運動を感知する2つの耳石器(卵形嚢と球形嚢)が含まれています。

回転運動を感知する3つの半規管は、それぞれ異なる平面に配置されています。これにより、身体の様々な方向への回転運動を感知できます。一方で、直線運動を感知する耳石器は、加速度や速度の変化を検知し、例えば前進や後退などの直線的な運動に対応します。

これらの前庭器官が感知した平衡感覚の情報は、前庭神経を介して脳に伝達されます。脳はこの情報を処理し、身体の傾きや回転に対する正確な把握を行います。このプロセスによって、私たちは自然な感覚で立ち上がり、歩行し、頭を動かすなどの日常の動作を安定して行うことができます。

平衡感覚の正確な機能は、身体の協調動作や姿勢制御、特に視覚と組み合わせることで、私たちが安定した状態で物理的な活動を行えるようにしています。この感覚の働きが滞ると、めまいやふらつきなどが生じ、身体の調和が乱れることがあります。

● 平衡感覚の伝達

平衡感覚の伝達