抗原は、病原体や異物のたんぱく質の一部で、生体に免疫反応を引き起こします。抗体は、抗原による免疫反応で産生されるたんぱく質で、抗原を標識し病原体や異物を攻撃し破壊する役割を担っています。
B型肝炎ウイルスに関連するHBs抗原とHBs抗体は、B型肝炎の状態を評価するうえで大切な検査項目です。
HBs抗原はHBウイルスの外殻を構成するたんぱく質の一部で、ウイルス感染の診断に利用されます。HBs抗原が陽性の場合は、B型肝炎ウイルスに感染している可能性を示しています。この検査は、B型肝炎ウイルス感染の早期発見や予防策の導入に役立ちます。
HBs抗体は過去にB型肝炎ウイルスに感染した経験があり、抗体が産生され治癒していることを示しています。HBs抗体が陽性の場合は、抗体がHBウイルスに対して産生されており、再び感染するリスクが低いことを示唆します。これは自然感染またはHBワクチン接種によって獲得される免疫反応です。HBs抗体の存在は、将来のHBウイルス感染から保護されている可能性が高いことを示唆しています。
特に、HBワクチンの接種後も同様にHBs抗体が陽性になります。ワクチンは、無害なウイルスの一部を体内に導入し、免疫系を刺激して防御機構を構築します。その結果、ワクチンを受けるとHBs抗体を生産し、将来のB型肝炎ウイルス感染から保護されることが期待されます。
つまり、HBs抗原は現在の感染を示し、HBs抗体は過去の感染またはワクチン接種による免疫反応を示します。これらの検査は、B型肝炎の診断、治療、および予防策の評価において重要な情報源となります。