骨の成長

骨の数

私たちの身体は、約206個の骨で構成されています。一方、赤ちゃんは、約350個の骨で構成されています。成人になると骨が減少するのは奇妙な感じがしますが、成長とともに骨と骨がくっついて一つの大きな骨(癒合)になるためです。特に、頭の骨(頭がい骨)や手指や手首の骨(手腕骨)、骨盤でよく骨の癒合がみられます。参考までに、赤ちゃんの骨の数が成人より多いことは、テレビのクイズ番組に出ていました。


骨の重さは、体重のおよそ15-18%前後で、筋肉と同様に身体の主要な構成要素となっています。体重が60kgの人の場合、骨の重さは9-10㎏になります。

骨の働き

骨は、(1)身体を支える、(2)関節を支点にして動くようにする、(3)内臓を守る、などの働きをしています。他には、(4)血液(血球)をつくる、(5)カルシウムを蓄える、という役割があります。


骨の中心部には“骨髄”があります。そこでは血液の原料となる造血幹細胞(血液のもとの細胞)が存在し、赤血球、白血球、血小板を作りだしています。

また、骨にはカルシウムの貯蔵庫としての役割があり、体内のカルシウムの99%が骨に蓄えられ、残りの1%が血液中に存在しています。そのため、骨は体内の細胞が必要とするカルシウムを蓄え、細胞に安定供給するのに役立っています。まるで、カルシウムの銀行のような役割ですね。

骨を溶かす”破骨細胞”と骨を作る”骨芽細胞”

骨の成長は、無造作に増大しているわけではありません。骨の細胞がそれぞれ身勝手に増殖していったら、骨は成長に伴い単なるカルシウムの塊になってしまいます。

しかし、実際は形を整えながら立体的にバランスよく成長しています。

骨は、常に新陳代謝を繰り返し、約3年のサイクルで少しずつ新しい骨になり、1年でおよそ20%の骨が新陳代謝していると言われています。この新陳代謝のことを“骨のリモデリング”と呼んでいます。


骨は、主に3種類の細胞により構成され、リモデリング(新陳代謝)を繰り返しています。

  • 古い骨を溶かす“破骨細胞
  • 骨を作る“骨芽細胞
  • 骨を構成する“骨細胞


まず、“破骨細胞”が古くなった骨を溶かして吸収します(骨吸収)。そして、“骨芽細胞”が、破骨細胞によって溶けて吸収された部分に新しい骨を作り出します(骨形成)。

骨細胞は、骨を構成する細胞の約90%を占め、骨の表面にいる破骨細胞や骨芽細胞とも連結し、骨形成と骨吸収のバランスを保っています。加齢などによりこのバランスが崩れると骨粗しょう症になります。

骨の成長は、古い骨を溶かす“破骨細胞”と骨を作る“骨芽細胞”のデリケートな共同作業によってなされ、絶妙なバランスの上に成り立っています。ちょっと視点を変えてみれば、まるで私たちの社会の縮図のような気がして来ませんか。

大腿骨と骨髄

大腿骨と骨髄

骨芽細胞と破骨細胞

骨芽細胞と破骨細胞