心筋梗塞

心筋梗塞とは

今回は心筋梗塞についてです。心筋梗塞は、心臓(心筋)への血液の供給が急激に減少、または、止まることにより心筋が壊死してしまう病気です。つまり、心臓に必要な血液が足りない、酸素が足りないため心臓が駄目になってしまう病気です。

心臓の血管

はじめに、心臓の解剖からみてみましょう。
心臓の大きさは、握りこぶしくらいの大きさで、重さは250-300gぐらいです。
表面には太い血管(冠動脈)があり、ここから心臓に酸素を運ぶ血液を送っています。
冠動脈は大きく分けて2本あり、左右に1つずつあります。左の冠動脈はさらに大きく2つに分かれ、この3本の血管が、心臓に栄養や酸素を運んでいます。

心臓の中の血液

確かに心臓の中にはたくさんの血液があります。しかし、これは役に立ちません!
心臓の中の血液は全身に酸素や栄養を送るためのものであって、たとえ心臓の中にたくさんの血液があっても心筋梗塞は起こります。ヒトの心臓は冠動脈で供給される血液からしか酸素を受けとることができない仕組みになっているからです。 

そのため、動脈硬化などにより血管が狭くなったり、詰まったりすると、過剰の運動などにより心臓に多くの血液が必要となったりした場合、心臓に血液が足りない状態(虚血)となります。

狭心症と心筋梗塞

狭心症と心筋梗塞は、ともに虚血性疾患(心臓に血液が充分にない病気)と言われ、原因は、冠動脈の血管が詰まりかかったりあるいは詰まることによって心臓に血液が足りない状態(虚血)になることです。虚血が短い時間で細胞(心筋)が壊死にまでいたらなければ“狭心症"で、長い時間虚血のため細胞(心筋)が壊死してしまえば“心筋梗塞"となります。

症状

症状は、突然の前胸部の痛み、絞めつけ感、圧迫感、また呼吸困難などを訴え、時には、肩の痛み、背中の痛みを訴える人もいます。こんな時は、迷わず病院に行ってください。また、糖尿病の方は痛みの症状が出ないことがあるため、痛みがなくても胸の違和感があれば、やはり病院に行ってください。

病院では、心電図や血液検査などをされると思います。心筋梗塞の場合、心電図では、正常とは異なった波形となり、血液検査では、CK(CPK)、LDHなど心筋からの逸脱酵素が上昇します。

治療

さあ、診断がついたところで、次は治療です。

治療は、鎮静・疼痛管理、血流を再度戻す(再灌流)、不整脈などの合併症の管理が必要になります。大切なことは血流を早く戻すことです。症状が出現したら、迷わず早く病院に行くようにしてください。

  • 安静(精神的、肉体的)
  • 痛みをとる。(モルヒネの使用)
  • 酸素投与
  • 薬物治療(血栓を溶解する)
  • 再灌流療法・冠動脈インターベンション(風船治療・ステント治療)
  • 心臓リハビリテーション・運動療法
  • 不整脈の治療
  • その他の合併症の治療

自分にできること

治療に関しては主治医とよく相談してください。まずは、心筋梗塞になりやすい因子として、高血圧、肥満、糖尿病、高コレステロ一ル、喫煙、家族歴などがあげられます。特に、中年男性の方は健康のために最低限、喫煙と肥満(食生活)には充分気をつけて下さい。大切なことですよ。

Coffee break!

● 心臓に酸素や栄養を送る血管

心臓に酸素や栄養素を供給するため、冠動脈があります。

冠動脈は、大動脈基部から、左冠動脈右冠動脈に分岐して、さらに左冠動脈は前下行枝回旋枝に分かれるため大きく3本の枝に分かれます。

右冠動脈は左室の下壁を栄養しています。左冠動脈の前下行枝は、左室前壁や心尖部、心室中隔を,回旋枝は、左室側壁から後壁を栄養しています。

心臓に分布する血管のどの部分が閉塞するかにより、心筋梗塞の部位が変わってきます。

心臓に酸素や栄養を送る血管