名古屋セントラル病院 脳神経外科 主治医長 竹林 成典
脳深部刺激療法は2000年に保険認可され、日本では毎年500人前後の患者さんが手術を受けています。脳深部刺激療法(DBS)の効果は、『パーキンソン病の薬を半分にすること』と『動けなくなる状態(オフ)の改善』です。パーキンソン病は進行性の難病ですが、手術により5年以上前の状態に戻ることができます。
以前は前半の数時間を局所麻酔で行っており、目を覚ました状態で皮膚を切られ頭蓋骨に穴をあけていました。大きな苦痛を伴い手術をためらう原因となっていましたが、最近は始めから最後まで全身麻酔で行っています。辛い手術ではなくなりました。
脳の視床下核という部位に左右2本の電極を留置し、胸部の皮膚の下に埋め込んだペースメーカーに似た刺激装置と接続します。主なリスクとしては脳出血(1%)と感染(3%)がありますが、他の脳神経外科手術と比較しても安全な手術です。
手術は行うには特殊なトレーニングが必要なため、実施可能な病院が限られます。きちんとトレーニングを受けた術者と慣れた施設で手術を受けることをお勧めします。特殊な手術ですが、難しい手術ではありません。
手術を受けているのは対象となる患者さんの10%程度、欧米と比較しても半分以下との報告もあります。難病だからと諦めないで、外科治療を積極的に検討してください。
脳深部刺激療法(DBS)では以下の機器を体内に植込みます。
① リード:脳深部に植込みます。先端の電極から電流を流します。
② 刺激発生装置:胸部に植込みます。電池を内蔵し電気信号を発生させます。
③ 延長ケーブル:皮下でリードと刺激発生装置をつなぎます。
患者さんは専用リモートコントロール(④)を用いて、刺激のオン(入)とオフ(切)の切り替えができます。
充電式のDBSでは充電器(⑤)で定期的に充電します。