名古屋セントラル病院 循環器内科 主治医長 後藤 裕美
多くの方が“不整脈”という言葉を聞いたことがあると思いますが、“不整脈”はどういったものだと思いますか?
字のごとく脈が整ではない?それもあります。
不整脈とは脈が正常ではないことをいいますが不整脈には多くの種類が含まれています。
脈拍数の正常範囲は1分間に50-100回です。
1分間に50回未満でも100回以上でも不整脈となります。
脈が1拍飛んだだけでも、ばらばらになっていても不整脈となります。
つまり、遅くても速くても、飛んでも、乱れていてもすべて不整脈となりそれぞれの不整脈に対して名前がついていて別のものになります。
会話の中で
A「病院で不整脈と言われた。」
B「私も前に不整脈と言われたことがあるよ。」
同じ不整脈でも全く違う種類かもしれないのです。
不整脈になるとドキドキしたりふらついたりする症状が出る場合もありますが、多くの場合症状はありません。
また、治療の必要になる不整脈もありますが多くは問題なくそのまま放置しておいても大丈夫です。
脈が時々飛ぶ不整脈は多くの場合そのままにしておいても大丈夫ですが、苦しくなったり意識をなくすくらいの不整脈は治療が必要となります。
どの種類の不整脈なのか、不整脈自体がでているかでていないかは出ているときの心電図をとらないとわからないので動悸や苦しくなる時の心電図をとる必要があります。
病院では動悸があったり苦しくなったり、心電図で不整脈を指摘されたりしたら24時間などの長時間心電図をとる検査を行うことが多いです。
それにより不整脈がでているかどうか、どの種類の不整脈が出ているか調べます。
不整脈の一つに心房細動があります。
加齢とともになりやすくなり、症状としては動悸やめまい・胸苦しさなどありますが4割近くは自覚症状がなく知らない間になっている可能性があります。
2020年で推定患者数100万人と言われておりさらに増加するといわれています。
心房細動はすぐに命の危険があるというわけではありませんが、やっかいなことは脳梗塞をおこす危険性が高くなります。
心房細動になると心房という心臓の上の部屋がけいれんのように震え血液によどみができます。そうなると心臓の中で血の塊ができ血液に乗って脳の血管に飛んでいくと脳梗塞となります。
治療としては脳梗塞の予防として血が固まりにくくなる薬を飲むこと、心房細動がなければ脳梗塞の危険もなくなるので心房細動にならなくする治療があります。