名古屋セントラル病院 整形外科 主治医長 髙木 英希
皆さんがよく使う「リューマチ」の正式名称は「関節リウマチ」と言います。
関節リウマチは関節に痛みと腫れをともない長い経過をたどる病気です。関節の内側にある滑膜組織に炎症を起こして骨や軟骨が破壊され、次第に関節が変形してしまいます。
滑膜に炎症が起きる原因はいまだに完全には解明されていませんが、免疫機能の異常が関与しているとされる炎症性自己免疫疾患の1つです。
わが国にはおよそ60~70万人の関節リウマチ患者さんがいると言われていますが、性別により発症率に大きな違いがあり、女性は男性の4~5倍多いという特徴があります。男女を問わず加齢に伴って発症率が上がり、高齢になると男女差は少なくなります。
30~50歳代で発病することが多く、60歳代に患者数のピークがあります。
初発症状の80~90%が関節の痛みと腫れです。手首や手の指の関節に現れることが多く、膝や足首、足の指の関節などにも現れます。
その他、朝起きた時の手の指のこわばり(動かしにくい状態のこと)や全身疲労感で始まることもあります。
関節リウマチの診断に欠かせない検査がリウマトイド因子(RF)です。血液中に見られる自己抗体で関節リウマチの陽性率は70~80%です。関節リウマチ以外の膠原病、肝臓疾患のほか、まれに健康な人でも陽性になることがあるので、RF陽性だけでは関節リウマチの診断はできません。
また、関節リウマチの早期診断に役立つ自己抗体として最近重視されるようになった検査に抗CCP抗体があります。関節リウマチ以外の病気では陽性になることが少なく、高値の場合は病気の進行も早いと言われています。
その他、炎症反応を見る血液検査や、レントゲン、エコー、MRIなどの画像検査で関節リウマチの診断や治療評価をします。
1つでも関節の腫れや痛みがある場合は、早めに医療機関を受診して下さい。関節リウマチは治らない時代から、早期診断、早期治療で病気の進行を止めることができる時代になっています。
正常な関節と関節リウマチの関節を比較した模式図