ヘマトクリット

基準値

男性  39.7~52.4 %

女性  34.8~45.0 %

解説

● ヘマトクリットは、血液中に占める赤血球の全容積をパーセント表示した値で、貧血、多血症の診断に用いられる一般的な検査です。貧血で低値になり、多血症で高値になります。

 貧血ではヘマトクリット(Ht)は低値になりますが、赤血球数とヘモグロビン(血色素量)およびHtは必ずしも並行せず、病態によって異なる動きを示します。このためヘマトクリット赤血球数から平均赤血球容積MCVすなわち赤血球の1個当りの平均容積を算出し、小球性(MCV低値)・正球性(MCV正常)・大球性貧血(MCV高値)の鑑別をします。

 一般に女性では、過多月経や鉄分摂取不足による鉄欠乏性貧血が多く、MCV低値、血清鉄やフェリチンの低下がみられます。中高年以上で原因不明の正球性から小球性貧血をみた場合は、消化管や婦人科系の悪性腫瘍を疑い、精査を行う必要があります。

一方、ビタミンB12欠乏性貧血葉酸欠乏性貧血ではMCVが高値になります。

高値のときに疑う疾患

真性多血症、二次性多血症(高地居住者、慢性呼吸器疾患など)、脱水 など

低値のときに疑う疾患

小球性貧血(MCV低値)

鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血、サラセミア など

正球性貧血(MCV正常)

急性溶血性貧血、再生不良性貧血、出血性貧血 など

大球性貧血(MCV高値)

巨赤芽球性貧血(悪性貧血、葉酸欠乏性貧血) など