心臓

解説

● 心臓は、全身に血液を循環させる働きがあります。身体のすみずみまで、酸素と栄養を供給します。

心臓は、酸素や栄養を供給するため全身に血液を循環させる主要な臓器です。

左右の心房心室から構成され、大きさは握りこぶしよりやや大きく、重さは200g~300gです。

自動的にリズムよく拍動し血液を送り出します。心拍数は1分間に60〜80回、一回拍出量は約70ミリリットルです。一日に約7,000リットルもの血液を循環させ、全身に酸素や栄養を供給しています。

また、同時に右心室から酸素不足になった血液を肺へ送ります。自律神経系やホルモンによって調整された心臓の動きは、適切な循環を維持しています。

心臓のイメージ

もっと詳しく!

心臓は、私たちの身体において最も重要な臓器の一つであり、全身に酸素や栄養を供給するための血液を循環させる役割を果たしています。身体の隅々まで血液を送り届けることで、各組織や臓器は正常に機能し、生命活動が維持されます。心臓の主な働きについて説明します。


心臓は握りこぶしよりもやや大きく、重さは200グラムから300グラム程度です。形状は、2つの上下に分かれたポンプのような構造を持っており、左右の心室と左右の心房から成り立っています。心臓は自動的に拍動し、正確なリズムで血液を送り出すことが特徴です。


心拍数1分間に60回から80回程度であり、一回の心臓の収縮(拍動)で血液を体内に送り出す量を一回拍出量と呼びます。一回拍出量は約70ミリリットルです。したがって、心拍数を一日に10万回と仮定すると、一日の間に心臓から送り出される血液の総量は驚くべきことに約7,000リットルにもなります。これは私たちの身体全体の血液量を約1,400倍も循環させることに相当します。


心臓は血液を体内に送り出すために、左心室から酸素を豊富に含んだ血液(酸素化血液)を全身に供給し、同時に右心房から酸素を取り込んだ血液(酸素不足血液)を肺へ送り出すという重要な役割を果たしています。心臓の動きは自律神経系やホルモンの調節によって制御され、適切な循環を維持するために連続的に調整されます。


心臓は私たちの身体の中で不可欠な臓器であり、その働きによって私たちは生命を維持しています。心臓の健康を保つためには、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレスの管理、禁煙などの健康的な生活習慣が重要です。また、定期的な健康診断や心臓の検査を受けることも心臓の健康管理には欠かせません。心臓の働きを支えることで、私たちは健康的で活力ある生活を送ることができます。

Coffee break!

 一日の心拍数は、約10万回!

1分間の心拍数は60回から80回で、安静時の1回拍出量は、約70mLです。

1日の心拍数は、

心拍数 約70(60~80)回/分 x 60分 x 24時間 = 100,800回

実に約10万回になります。


1日に心臓から送り出される血液の量は、

1回拍出量70mL x 1分間の心拍数70回/分 x 60分 x24時間 

= 7,056,000mL(ミリリットル)

= 7,056L(リットル)

心臓から送り出される血液の量は、1日に約7,000リットルになります。

※1,000mL(ミリリットル)=1L(リットル)

一日の心拍数は、約10万回!

心臓の構造

心臓の構造

血液の流れ

血液の流れ

Coffee break!

 心臓に酸素や栄養を送る血管

心臓に酸素や栄養素を供給するため、冠動脈があります。

冠動脈は、大動脈基部から、左冠動脈右冠動脈に分岐して、さらに左冠動脈は前下行枝回旋枝に分かれるため大きく3本の枝に分かれます。

右冠動脈は左室の下壁を栄養しています。左冠動脈の前下行枝は、左室前壁や心尖部、心室中隔を、回旋枝は、左室側壁から後壁を栄養しています。

心臓に分布する血管のどの部分が閉塞するかにより、心筋梗塞の部位が変わってきます。

心臓に酸素や栄養を送る血管

Coffee break!

 肺循環と体循環

血液の循環には、肺循環体循環があります。

肺循環は、心臓と肺のと間を、右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房というルートで循環しています。

体循環は、心臓と肺以外の身体との間を、左心室→大動脈→全身の器官・組織→上大静脈・下大静脈→右心房というルートで循環しています。

肺循環と体循環

Coffee break!

 肺動脈に、静脈血?

血液の循環には、体循環肺循環があります。

心臓が血液循環のポンプの役割をして、肺循環では肺から酸素を取り込み、体循環では全身に酸素を供給しています。

血管の名称は、心臓から血液を送る血管を動脈心臓に戻ってくる血管を静脈と言います。また、肺で酸素を取り込んだ血液を動脈血様々な組織で酸素を供給した後の血液を静脈血と言います。

そのため、心臓から肺に流れる血管は動脈ですが、流れている血液はすでに酸素が使われているため静脈血になります。一方、肺から心臓に戻る血管は静脈ですが、流れている血液は酸素をたくさん含んだ動脈血になります。

奇妙な感じがするかもしれませんが、肺動脈には静脈血が流れ、肺静脈には動脈血が流れています。

肺動脈に、静脈血?

Coffee break!

 心臓から心臓へ、約1分

心臓から出た血液は、どのくらいの時間で心臓に戻ってくるとおもいますか?

心臓は、1分間に約70回の拍動(収縮)を繰り返しています。心臓は、1回収縮するごとに約70~80mLで、1分間に送り出す血液の量は、約5リットルになります。

一方、血液の量は、体重の約8%で、体重60kgの人の血液は、約5リットルになります。

偶然ですが、心臓から出た5リットルの血液は、約1分程度で心臓にもどってくることになります。


Coffee break!

 心臓の刺激伝導系

心臓の刺激伝導系は、洞房結節房室結節ヒス束右脚左脚プルキンエ線維によって構成されています。

洞房結節は心臓のリズムを調整し、洞結節で発生した興奮刺激は心房の収縮を起こし、心房内の心筋を通って房室結節へと伝わります。

その後、ヒス束を経由して右脚左脚に分かれ、プルキンエ線維の順に伝えられ心室の収縮を起こします。

心臓は、刺激伝導系の働きにより規則正しく拍動することができます。

心臓の刺激伝導系

Coffee break!

 心電図

心電図は、心臓が拍動する際に生じる心筋細胞の電気的活動を波形として記録し、心肥大や虚血性疾患(狭心症、心筋梗塞)などの心臓の状態や、不整脈を診断する検査です。

特に、心臓の活動の異常によってあらわれる頻脈、徐脈、期外収縮などの不整脈の診断には最も基本的な検査です。

心電図

P波 : 心房全体の興奮

PQ時間 : 心房から心室に電位が伝わる時間

QRS波 : 心室全体の興奮

QT時間 : 活動時間の始まりから終わりまでの時間

T波 : 心室の再分極(興奮からの回復


Coffee break!

 刺激伝導のしくみ

刺激伝導のしくみ
刺激伝導のしくみ