グルコース(GLU)

基準値

70~109 mg/dL

解説

● グルコース(GLU)は、一般に「血糖値」と呼ばれる糖尿病の基本的な検査です。食事の前後で変動が大きくなりますが、空腹時で126mg/dl以上は糖尿病を疑います。

血液中のグルコース(ブドウ糖)血糖値と呼びます。血糖値は食事による摂取のほか肝臓で産生放出されるグルコース(ブドウ糖)と、脳・筋肉・赤血球などの末梢組織での消費されるグルコースとの間で平衡状態を保っています。特に中枢神経系ではグルコースは唯一のエネルギー源であり健常人では血糖値がおよそ60~140mg/dlの間に調節されています。


膵臓より分泌されたインスリンは、筋肉、肝臓、脂肪細胞など組織へのグルコースの取り込みを促進して血糖値を下げ、また肝臓からグルコースの放出を抑制する働きを持ちます。このような調節が障害され、コントロールがきかなくなった場合に低血糖高血糖が引き起こされます。


高血糖を引き起こす代表的な疾患は糖尿病で、膵臓の障害によるインスリンの欠乏によるインスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)と、さまざまな段階のインスリン抵抗性または、分泌不足によるインスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)などがあります。

一方、血糖値が60mg/dl以下の場合を低血糖状態といい、インスリンの過剰投与による外因性低血糖、インスリン産生腫瘍(インスリノーマ)によるものや、空腹時低血糖、反応性低血糖などに大別されます。


低血糖では異常な空腹感や冷汗がみられ、血糖値30mg/dl以下で傾眠傾向、20mg/dl以下では痙攣、昏睡を来たす場合があります。

高値のときに疑う疾患

一次性糖尿病(1型および2型糖尿病)、二次性糖尿病(慢性膵炎、肝硬変など)、グルカゴノーマ、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、原発性アルドステロン症 など

〔健常人でも食後は126mg/dl以上となりますが、通常160mg/dl前後にとどまり200mg/dlを超えることはまれです。〕

低値のときに疑う疾患

下垂体機能低下症、低グルカゴン血症、副腎皮質機能低下症、肝癌、肝硬変、アルコール性低血糖、インスリノーマ、インスリン治療や経口血糖降下剤過剰投与に伴うものなど