胃内視鏡(上部消化管内視鏡)

解説

● 上部消化管検査(胃透視)は、造影剤を用いて食道、胃、十二指腸を撮影する検査です。

胃がんは、胃の粘膜に発生するがんです。50歳代以上の男性に発症することが多く、年間約5万人の方が胃がんで亡くなっています。この数は年々減少傾向にありますが、頻度の高いがんであることには変わりありません。

胃がんの発症リスクとして、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染のほか、喫煙の習慣や塩分の過剰摂取、栄養バランスの偏った食生活、過度な飲酒などが指摘されています。

この検査で疑う疾患

食道がん、逆流性食道炎、胃がん、胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、十二指腸潰瘍 など

この検査で疑う疾患

Coffee break!

● 胃は、なぜ、自分の胃を消化しないのですか?

胃酸はかなり強力で、胃の中で食べ物を分解しますが、自分の胃は消化しません。

胃が消化されないのは、胃の細胞から胃酸に強い粘液が分泌され、胃の粘膜を保護しているからです。すごい仕組みですね。

胃は、なぜ、自分の胃を消化しないのですか?

胃壁の表面は全体が粘液に覆われ、胃液をだす小さな穴が開いています。

胃腺の奥には、胃液を作り出す無数の細胞が並んでいます。

Coffee break!

● 恐るべしべしピロリ菌

  • ピロリ菌は、胃の粘膜に生息しているらせん形をした細菌です。胃の粘膜は、強力な酸である胃酸に覆われているため、従来は、細菌も存在できないと考えられていました。しかし、最近の研究により、ピロリ菌が胃の中に生息し、慢性胃炎胃潰瘍胃がん十二指腸潰瘍などの病気に深く関っていることが明らかにされてきました。

  • ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を分泌し、この酵素は胃の中の尿素を分解してアンモニアを作りだします。アンモニアはアルカリ性で、自分の周りの胃酸をアンモニアにより中和して胃の中での生存を可能にしています。
    そのため、感染するとピロリ菌が発するアンモニアや毒素などによって胃の粘膜が炎症を起こし、この状態が長く続くことで、胃を中心に様々な障害が引き起こされると考えられています。

  • ピロリ菌を除菌すると、新しい胃がんの発生する確率を減らすことができる可能性があります。ピロリ菌に感染しているかどうかは、内視鏡での胃粘膜の観察や、尿素呼気試験血液検査などで確認できます。

ピロリ菌

ピロリ菌
ピロリ菌