遊離トリヨードサイロニン(FT3)

基準値

1.68~3.67 pg/mL

解説

● 遊離トリヨードサイロニン(FT3)は、甲状腺ホルモンであるT3とよばれるホルモンの仲間です。血液中のT3は、ほとんどがタンパク質と結びついて働きが抑えられている状態です。FT3は、ホルモンとしての活動性を持つ遊離型を測定する検査です。

甲状腺ホルモン(T3,T4)は、血液中ではほとんどがサイロキシン結合グロブリン(TBG)とよばれるタンパク質と結びついています。すべてのT3のうち、遊離型(FT3)は全体の0.2~0.3%ほどであり、遊離型のみがホルモンとしての働きをもちます。また甲状腺ホルモンの中では、T3が最も強い作用をもっています。

いままではFT3自体の測定をすることは技術的に難しかったのですが、近年では簡単に計れるようになりました。またFT3を直接測定することができれば、TBGの影響を受けることがないので、TBGに異常をもつ患者さんの甲状腺機能を知ることにも役立ちます。

FT3は一日の変化も小さく、食事、運動の影響も受けないため、採血をするときに特別な制約はありません。甲状腺機能亢進症の症状が落ち着いてきた患者さんでは、一般にFT3はFT4に遅れて正常の値に戻るといわれています。

一方で状態が悪くなってきているときには逆の順番になるため、これらの測定は病状を知るために役立ちます。

高値のときに疑う疾患

FT3高値:FT4高値のとき

甲状腺機能亢進症、甲状腺ホルモン不応症 など

低値のときに疑う疾患

甲状腺機能低下症 など