BNP 脳性Na利尿ペプチド

基準値

18.4 pg/mL 以下

解説

● BNPは、心臓の心室という場所から分泌されるホルモンです。慢性心不全、および急性の心臓病により増加し病状の評価に用いられます。

脳性Na利尿ポリペプチド(BNP)は、当初、豚のから分泌され尿を出やすくする物質として発見されたので、この名があります。しかしながらその後、BNPは脳よりもむしろ主に心臓から分泌され、体液や血圧の調節に重要な役割を担うことが明らかになってきました。

似たようなはたらきをもつ物質に、心房性Na利尿ポリペプチド(ANP)というホルモンがあります。この二つを較べると、ANPが主に心房という場所から分泌されるのに対して、BNPは主に心室という異なる場所から分泌されることから、両者は互いに異なる分泌のしくみを持っていると考えられています。実際、血液検査でのBNPは慢性心不全が重くなるにしたがって上昇しますが、その変化の程度はANPに比べてより大きなものです。


一方、急性の心臓病、特に急性心筋梗塞におけるBNPについては、時間を追うごとに1回だけ上昇する場合と2回も上昇する場合とがあり、2回も上昇する場合の方が心臓の機能は悪くなったとの報告があります。BNP値を時間ごとに計測することで、その時点における心臓の機能をみるだけではなく、回復の見込みがどれほどあるのかを予測することにも役立つと期待されています。

高値のときに疑う疾患

うっ血性心不全、急性心筋梗塞、腎不全、本態性高血圧、急性肺障害 など

低値のときに疑う疾患

低いことで心配するような病気はありません。