血圧

解説

 血圧は、血管内の圧力です。血圧値は血液の循環動態を知る手がかりとなります。特に高血圧は、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす重要な要因となります

血圧は、心臓が収縮して血液を押し出すときに高くなり、心臓が拡張して血液の流れが緩やかなときは低くなります。心臓が収縮して血液を押し出すときの最も高い血圧が収縮期血圧(上の血圧)、拡張して血液の流れが緩やかなときの最も低い血圧が拡張期血圧(下の血圧)です。

脈圧は、収縮期血圧と拡張期血圧の差で、正常値は40~60mmHgです。加齢により増大しますが、脈圧が大きいほど動脈硬化が進行している可能性が高く、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすいといえます。


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● 診察室血圧と家庭血圧

血圧には、病院の診察室で測定する 診察室血圧” と、家庭で測定する 家庭血圧” があります。通常は、病院での血圧のほうが少し高めになります。

慣れていても病院は少し緊張しますよね。

成人における血圧値の分類

a)診察室血圧(mmHg)(診察室で測定する血圧)

a) 診察室血圧(mmHg)(診察室で測定する血圧)
a) 診察室血圧(mmHg)(診察室で測定する血圧)


b)家庭血圧(mmHg)(家庭で測定する血圧)

b) 家庭血圧(mmHg)(家庭で測定する血圧)
b) 家庭血圧(mmHg)(家庭で測定する血圧)

日本高血圧学会:高血圧症ガイドライン2019

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● 脈圧と動脈硬化の関係

左心室は収縮し血液を押し出した後に血液をためるために拡張します。このとき血液が左心室に戻ってこないように、左心室と大動脈との間の大動脈弁が閉じて血液の逆流をふせいでいます。左心室から血液は送り出されていないのですが、太い動脈から細い動脈のほうへ血液は流れ続けます。血流は閉じているのに、血管の中を血液が流れ続けるなんて、不思議ですね。


それは左心室が収縮して勢いよく血液を送り出すとき、大動脈や太いレベルの血管が血流の圧力によって太くなり、その後、大動脈弁が閉じた後は新しい血液の供給がなくなるのでだんだんもとの太さに戻ろうとします。

これが血流のポンプとなって拡張期でも中枢から末梢へ血液を送り続ける圧力、すなわち拡張期血圧(下の血圧)を維持する原動力となるのです。


血管が柔らかければ、血流により太いレベルの動脈が太くなり、拡張期血圧(下の血圧)が維持され、脈圧は小さくなります。

血管が硬ければ、太いレベルの動脈に弾力がなく、拡張期血圧(下の血圧)は低下し、脈圧は大きくなります。脈圧が大きい場合は、比較的太い血管の動脈硬化が疑われます。

ただし、拡張期血圧(下の血圧)が基準より高い場合、高血圧になります。

脈圧に異常がない場合でも、拡張期血圧(下の血圧)が高いときには、必ず、主治医に相談してください。